『食育』 ~恵みに感謝しながら~

ご家庭の食生活はどうなっていますか。子どもたちを交えた家族でいっしょの食卓を囲む機会はありますか。

食物は、神様から与えられているわたしたちの生命を維持していく上でなくてはならないもの。

私たちの幼稚園では、子どもたちが「食べること」のよろこびと感謝を深く味わうように、「食育」を試みています。おにぎり弁当を週に一日、家庭よりのお弁当二日、給食センター及びパンとスープの給食一日と、バラエティーをもたせています。家庭からのお弁当は、家庭の愛情こもった手作り感で子どもの好みに合わせたもの。給食ではそうはいきません。「残す」と言って来た子にお話をしたり、ちょっと口に入れてあげると「おいしい」と目覚める子もいます。

木曜日は、みそ汁を幼稚園で作る日です。毎週、縦割りクラスが順番で担当します。
小さい子はキャベツや白菜をちぎったり、玉ねぎの皮をむきます。年長組は大根を切ったり、油揚げを切ります。お味噌汁のだしは昆布と煮干。煮干の内臓と頭をとるのは当番にあたったグループの仕事。煮干の頭は食べちゃおう!おいしいね。

年長組になると、色々な食材について関心を持ち、作る喜びを味わうことが出来るように、お料理に直接参加します。包丁を使うこと、皮むきなど、道具に慣れることから始まり、三学期になるとどの子も自信を持ってお料理にとりくみます。 五感を働かせ、匂い、固さややわらかさ、ぐつぐつ煮える音、いろいろな味を知り、おうちの人が毎日お食事を作るのがどんなに大変か、その気分も、ちょっぴり味わいます。年長コックさんは準備から片づけまでやりとげます。使用した大きな机をもとにもどす時は、子ども達の工夫と協力、普段養われる想像力が発揮するところ。教えるのは簡単ですが、自分達で考えると学ぶ事も大きいです。今日のみそ汁「おいしい?」と他のクラスに聞きにいく子もいます。自分達の作ったものは特別おいしいんですね。

誕生会の会食パーティーには、季節のものを取り上げたり、和の食も取り入れています。
春は蓬摘みをして蓬団子・夏は冷やしそうめん・おにぎり、秋は・芋掘りした芋を使って芋ご飯、外でガーディンパーティー風にお好み焼きをしたり、古代米を味わったり、、鯖をおろすところから見て鯖の味噌煮なども美味しく頂きます。
みんなでペッタンペッタンお餅つきもします。 本物のうすと杵を使って。(上にのせるものはお好みで頂きます)。 「お米のおいしい匂いがする」「わあー、おもちってやわらかいんだね、ふわふわ」と、子どもの歓声があがりました。

食生活は近年急激な変化にさらされています。今までは家庭で調理されていたものが外食や昼食に代わることが多くなりました。また、食べる時間や場所も多様化し、24時間営業のレストラン、コンビニ、林立する自動販売機。
誰もがいつでもグルメを楽しめる飽食ニッポン。
そして対極には生活習慣病がはびこっています。

21世紀を生きる子どもたち、人工的な味をではなく本物の味を知って、賢く食の選択をし、生涯を健康に送ってくれるようになればと思います。そして、五感を養い、野菜や魚の旬を考え、日本古来の食生活を見直し、環境問題についても心してほしいと願っています。